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Excelの関数・集計・データ整理を生成AIに頼む方法:指示文の例と注意点

この記事の要点

  • 生成AIに Excel の式を頼むときは、「列の名前と中身」「やりたいこと」「Excel の版」を正確に伝えるのが一番のコツです。
  • 返ってきた式は、答えを手で数えられる少ない件数の表で確かめてから、本番の表に使います。
  • マクロ(VBA)で変えた内容は元に戻せないので、必ずファイルのコピーで試します。個人情報や社外秘のデータは貼り付けません。

生成AIに頼めるExcelの作業

作業頼み方の例
関数・式を作る担当者ごとに、4月の売上の合計を出す式を作って
式の意味を知るこの式が何をしているか、1つずつ説明して
エラーの原因を探すこの式で #N/A が出る理由を教えて
表記ゆれを整える社名の「(株)」と「株式会社」をそろえる式を作って
マクロ(VBA)を作る毎月の集計の手順を自動にするマクロを作って

ChatGPT などの対話型の生成AIに頼むほか、Microsoft 365 の契約によっては、Excel の中で Copilot に式を作らせることもできます。Copilot が表示されるかどうかは、契約と組織の設定によります(2026年9月時点)。

頼み方の基本:列の名前と中身を正確に伝える

生成AIには、あなたの表が見えていません。「売上を集計する式を作って」だけでは、どの列に何があるかを推測して式を作るので、そのままでは動かない式が返ってきがちです。伝えることは次の4つです。

  • 列の名前と中身:A列は日付、B列は担当者、のように書き、中身の例も1つ添えます。
  • データの範囲:見出しの行と、データが何行目から何行目まであるかを書きます。
  • やりたいこと:何を、どのセルに出したいかを書きます。
  • Excel の版:Microsoft 365、Excel 2019 などを書きます。版によって使えない関数があり、たとえば XLOOKUP は Excel 2016 と Excel 2019 では使えません。
Excelの式を作ってください。
■Excelの版:Microsoft 365
■シート名:売上
■列
A列:日付(例 2026/4/1)
B列:担当者(例 佐藤)
C列:商品名(例 コピー用紙)
D列:金額(例 12000)
■範囲:1行目が見出し、2〜500行目がデータ
■やりたいこと
F2に書いた担当者の、2026年4月の金額の
合計をG2に出したい。
■お願い
・式の意味を1つずつ説明して
・結果を確かめる方法も教えて

返ってくる式の例:SUMIFS・COUNTIFS・XLOOKUP

上の指示文には、たとえば次のような式が返ってきます。

条件に合う金額を合計する(SUMIFS)

=SUMIFS(D2:D500,B2:B500,F2,A2:A500,">="&DATE(2026,4,1),A2:A500,"<"&DATE(2026,5,1))

D列の金額のうち、B列の担当者が F2 と同じで、A列の日付が2026年4月1日以降かつ5月1日より前の行だけを合計します。SUMIFS は、最初に合計する範囲を書き、そのあとに「条件の範囲」と「条件」を組で並べます。似た SUMIF 関数とは引数(関数に渡す値)の順番が違うので、自分で式を直すときは気をつけます。

式を下の行へコピーして使うときは、範囲がずれないように「$」を付けた形(絶対参照。例:$D$2:$D$500)にしてもらいます。

条件に合う件数を数える(COUNTIFS)

=COUNTIFS(B2:B500,F2,C2:C500,"コピー用紙")

F2 の担当者が、コピー用紙を売った件数を数えます。「条件の範囲」と「条件」の組を足せば、条件を増やせます。

別の表から値を引く(XLOOKUP)

=XLOOKUP(C2,'商品マスタ'!A2:A100,'商品マスタ'!B2:B100,"未登録")

「商品マスタ」シート(商品名と単価の一覧表)のA列から C2 の商品名を探し、同じ行のB列(単価)を返します。見つからないときは「未登録」と表示します。ほかのシートを指すときは、シート名を「'」(半角の一重引用符)で囲んでおくと、名前に空白などが入っていても正しく読まれます。Excel 2016・2019 を使っている場合は、「Excel 2019 で使える式にして」と頼み直します。

表記ゆれの整理を頼む

同じ取引先が「〇〇商事(株)」「〇〇商事(株)」「〇〇商事株式会社」のようにばらばらだと、集計で別の相手として数えられてしまいます。こうした表記ゆれ(同じものの書き方の違い)をそろえる式も、生成AIに頼めます。

=SUBSTITUTE(A2," ","")

全角のスペースを消します。

=SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(A2,"(株)","株式会社"),"(株)","株式会社")

半角と全角のかっこで書かれた「(株)」を、「株式会社」にそろえます。

=ASC(A2)

全角の英数字やカタカナを半角にします。注意したいのは、ASC が英数字だけでなくカタカナも半角にすることです。商品コードをそろえるには便利ですが、社名に使うとカタカナまで半角になります。AIの式がやりたいことに本当に合っているかは、少ない件数で確かめてから使います。

ゆれが多いときは、「元の表記」と「そろえた表記」を並べた対応表を別のシートに作り、XLOOKUP で置き換える方法も相談できます。新しいゆれが見つかっても、対応表に1行足すだけで済みます。なお、取引先の一覧は社外秘にあたることがあります。そのまま貼らずに、例に置き換えて頼みます。

マクロ(VBA)を頼むときの注意

VBA(Excel の作業を自動にするためのプログラム)も、生成AIに書かせられます。式より影響が大きいので、次の点を守ります。

  • 必ずファイルのコピーで試します。 Microsoft の公式ヘルプにも、マクロは元に戻せないので、実行前にブックを保存するか、コピーで作業するよう書かれています。
  • 何をするコードか説明させます。 「何をしているか、日本語で1行ずつ説明して」と頼み、削除・上書き・保存・メール送信などの処理が無いかを見ます。
  • 対象のシートと範囲をはっきり書きます。 あいまいに頼むと、ほかのシートまで書き換えるコードになりかねません。
  • マクロ有効ブック(.xlsm)で保存します。 通常のブック(.xlsx)で保存すると、マクロは保存されません。
  • 出どころの分からないマクロは有効にしません。 VBA マクロは悪意のあるプログラムを広める手口としてよく使われるため、Microsoft はインターネットから入手したファイルのマクロを既定でブロックしています。
Excelのマクロ(VBA)を作ってください。
■やりたいこと
「売上」シートで、D列(金額)が空の行を、
「確認」シートに書き出したい。
■守ること
・「売上」シートは書き換えない
・行の削除や上書きはしない
・各行に、何をしているかの説明を付ける

使う前に:データを貼らず、少ない件数で確かめる

個人情報や社外秘のデータは貼り付けない

式を作ってもらうのに、本物のデータは要りません。列の名前と、架空の値に置き換えた数行があれば足ります。お客様の名簿、社員の給与、取引先ごとの売上などは、会社が認めた方法以外で入力しません。個人情報保護委員会も、個人情報を生成AIに入力するときは、利用目的の範囲内かを十分に確かめるよう注意を呼びかけています。

本物のデータをAIに扱わせたいときは、法人向けのプランや、外部に送らない仕組みを選びます。各社の違いはChatGPTなど生成AIに社外秘を入力してよいかで整理しています。何を入力してよいかは、生成AIの社内ルールの作り方を参考に、社内で決めておくと迷いません。

少ない件数で結果を確かめる

  1. 10行ほどのテスト用の表を作ります。答えを手で数えられる件数にします。
  2. 手で数えた答えと、式の答えを比べます。
  3. 合っていたら、本番の表に使います。合わなければ、式とずれ方をAIに伝えて直してもらいます。

テスト用の表には、間違いが起きやすい行をわざと入れておきます。

入れておく行確かめること
月の初日と末日の日付期間の境目が正しく入るか
空欄のセルエラーにならないか
表記ゆれのある名前同じ相手として数えられるか
マスタに無い商品「未登録」と出るか

まとめ

  • 式を頼むときは、列の名前と中身、データの範囲、やりたいこと、Excel の版を伝えます。
  • 返ってきた式は、少ない件数のテスト用の表で確かめてから使います。
  • マクロはコピーで試し、個人情報や社外秘のデータは貼り付けません。

当社では、Excel での集計や転記のような日々の作業への生成AIの取り入れから、手作業そのものを減らす業務システムの開発までお手伝いしています。「この作業はAIに頼めるのか」という段階から、お気軽にご相談ください。詳しくはAI活用支援のページをご覧ください。

参考

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