この記事の要点
- 会社で使う生成AIは、「どれが一番賢いか」より、普段使っている業務ソフトとの相性、法人向けプランでのデータの扱い、管理者の機能、料金のかかり方で比べると選びやすくなります。
- ChatGPT・Gemini・Claude・Copilot は、どれも法人向けのプランや仕事用のアカウントでは、入力した内容を既定で学習に使いません(2026年9月時点)。会社で使うなら、法人向けを選ぶのが基本です。
- 得意なことは更新のたびに変わります。候補を2〜3個に絞り、自社の実際の業務で試して決めるのが確実です。
※ 各社の公式ページで確認した、2026年9月時点の内容です。プラン名・機能・料金は変わりやすいので、契約の前に下の「参考」の公式ページで最新の情報を確かめてください。
比べるのは「賢さ」より「会社との相性」
4つのサービスはどれも、文章の下書きや要約、調べものなど、仕事でよく使う機能を備えています。そのうえ、中で動くAIのモデルは更新されていきます。たとえば Microsoft は、Copilot のモデルを定期的に更新すると説明しており、Copilot の中で OpenAI や Anthropic のモデルも提供しています。サービスの名前と、中で動くAIは一対一とは限りません。
そこで、会社で選ぶときは、次の5つの点で比べることをおすすめします。そのまま比較表として使えます。
| 比べる点 | 確かめること |
|---|---|
| 1. 業務ソフトとの相性 | 普段のメール・文書・ファイルの置き場所の中で使えるか |
| 2. 法人プランとデータの扱い | 入力した内容が学習に使われないか。会社としての契約で守られるか |
| 3. 管理者の機能 | 利用者の追加・停止、会社のアカウントでのログイン、使える機能の制限、記録 |
| 4. 料金のかかり方 | 1人あたりの月額か、今の契約に含まれるか、最低人数や契約期間 |
| 5. 実際の業務での使い勝手 | 自社の文書や作業で、手直しが少ないか |
比べる点1:普段使っている業務ソフトとの相性
毎日使うメールや文書の画面の中でAIを使えるかどうかは、社員が使い続けるかどうかに大きく関わります。
- Google Workspace を使っている会社:Gemini を、Gmail・ドキュメント・スプレッドシート・ドライブ・Meet などの中で使えます。使えるアプリの範囲はプランで違い、料金ページでは、Business Starter は Gmail の中、Business Standard 以上ではドキュメントや Meet などでも使えると案内されています。
- Microsoft 365 を使っている会社:Microsoft Copilot(旧 Microsoft 365 Copilot)を、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teams などの中で、社内のメールや文書をもとに使えます。Microsoft 365 の対象プランに追加する、有料のライセンスです。
- ChatGPT・Claude:どちらの業務ソフトの会社でも、単独で使えます。つなぐ機能を使えば、Google ドライブや SharePoint、Outlook などの中身をもとに答えさせることもできます。法人向けプランでは、つなぐ機能を使えるかどうかを管理者が決められます。
| 普段使っている業務ソフト | まず候補になるもの | ほかの選び方 |
|---|---|---|
| Google Workspace | Gemini(Workspace のプランに含まれる) | ChatGPT や Claude を、Google ドライブなどにつないで使う |
| Microsoft 365 | Microsoft Copilot(追加のライセンス) | ChatGPT や Claude を、SharePoint などにつないで使う |
| どちらも使っていない | 単独で契約できる法人向けプラン(ChatGPT・Claude など) | これから入れる業務ソフトに合わせて選ぶ |
比べる点2:法人プランと入力データの扱い
会社で使うなら、入力した内容が学習に使われない、法人向けのプランや仕事用のアカウントを選びます。2026年9月時点の各社の扱いは次のとおりです。
| サービス | 法人向けのプラン・アカウント | 既定の扱い |
|---|---|---|
| ChatGPT(OpenAI) | ChatGPT Business(2025年8月29日に Team から改名)・Enterprise・Edu、API | 入力を学習に使わない |
| Gemini(Google) | Google Workspace の仕事用アカウント | 許可なく人が読むことも、組織の外で学習に使うことも無い |
| Claude(Anthropic) | Team・Enterprise、API | 入力を学習に使わない |
| Copilot(Microsoft) | 職場・学校のアカウントで使う Microsoft Copilot | エンタープライズ データ保護の対象で、学習に使わない |
有料でも、ChatGPT の Plus・Pro や Claude の Pro・Max のような個人向けのプランは、設定によって学習に使われることがあります。個人向けの扱いと学習を止める設定は、ChatGPTなど生成AIに社外秘を入力してよいかで詳しく整理しています。
比べる点3:管理者の機能
会社で使うには、社員の利用を会社として管理できることが大切です。次の機能があるかを確かめます。
| 確かめる機能 | 何のためか |
|---|---|
| 利用者の追加・停止 | 入社・退職のときに、すぐ使えるように、すぐ止められるようにする |
| 会社のアカウントでのログイン(SSO) | 社員が個人のアカウントで使うのを防ぎ、退職時にまとめて止める |
| 使える機能・連携の制限 | 社内のファイルやメールにつなぐ機能を、許可したものだけにする |
| 利用状況・記録の確認 | 誰がどれだけ使っているか、問題が起きたときに何があったかを確かめる |
| 会話の保存期間の設定 | 会話の記録を残す期間を、会社の決まりに合わせる |
SSO(シングルサインオン)は、会社で使っているアカウントでログインする仕組みです。同じサービスでも、プランによって使える管理の機能は違います。2026年9月時点の例です。
- ChatGPT Business には、SSO とドメインの確認が含まれます。利用者の登録・削除を社内の名簿と自動で合わせる仕組み(SCIM)は、Enterprise の機能です。
- Claude の Team には、SSO や、つなぐ機能の管理が含まれます。監査ログ(誰がいつ何をしたかの記録)や、データの保存期間の設定は Enterprise の機能です。
- Google Workspace では、Gemini アプリを使える人を、組織全体・部署・グループの単位で管理者が決められます。
- Microsoft Copilot では、組織で使えるエージェントを管理者が選べます。Microsoft Purview で、Copilot とのやり取りの保存期間も設定できます。
比べる点4:料金のかかり方
金額は変わりやすいので、ここでは「かかり方」だけを整理します(2026年9月時点)。最新の金額は、各社の料金ページで確かめてください。
| サービス | 料金のかかり方 |
|---|---|
| ChatGPT | 法人向けは1人あたりの月額。Business は月払いと年払い、Enterprise は年払い。2人から契約でき、利用枠を増やすクレジットも追加で買える |
| Gemini | Google Workspace の料金(1人あたりの月額)に含まれる。使えるアプリの範囲はプランで違う |
| Claude | Team は1席あたりの月額で、2〜150人向け(月払いと年払い)。Enterprise は席の料金に、使った量に応じた料金が加わる(年払い) |
| Copilot | Microsoft 365 の対象プランに、有料のライセンスを追加する。Web の情報をもとにしたチャット(Microsoft Copilot Chat)は、対象プランに追加料金なしで含まれる |
ChatGPT Business と Claude の Team には、よく使う人向けに利用枠の大きい席(Premium)があり、普通の席と組み合わせられます。すでに Google Workspace や Microsoft 365 を使っているなら、今の契約に追加でいくらかかるかで比べます。
比べる点5:実際の業務で試して決める
得意なことや使い勝手は、更新のたびに変わります。評判や一般的な比較より、自社の仕事でどうかを確かめるのが確実です。
- 1〜4の点で、候補を2〜3個に絞ります。
- 自社でよくある仕事を3〜5個選びます(例:問い合わせへの返信、議事録のまとめ、見積もりの説明文、表の整理)。
- 同じ指示文で、それぞれに頼みます。社外秘は入れず、試験用の資料を使います。
- 次の表の項目を1〜5点で採点し、合計で比べます。
| 採点の項目 | 見るところ |
|---|---|
| 正確さ | 事実や数字に誤りが無いか |
| 手直しの量 | そのまま使えた割合、直すのにかかった時間 |
| 日本語の自然さ | そのまま社内外に出せる文か |
| 使いやすさ | 普段の画面から使えるか、手間が少ないか |
| 管理のしやすさ | 利用者の追加・停止や設定が分かりやすいか |
1つに絞らず、業務ごとに使い分ける選び方もあります。当社でも、開発の工程では設計やコードを複数のAIに互いに確かめさせ、最終的な判断はエンジニアが行っています。試したあとに社内へ広げる進め方は、中小企業の生成AI導入の進め方で紹介しています。
まとめ
- 生成AIのサービスは、「賢さ」より、業務ソフトとの相性・データの扱い・管理者の機能・料金のかかり方で比べます。
- 会社で使うなら、どのサービスでも法人向けのプランか仕事用のアカウントを選ぶのが基本です。
- 最後は、候補を2〜3個に絞り、自社の実際の業務で試して決めます。
当社では、業務に合った生成AIのサービスとプランの選定から、社内ルールづくり、定着までの伴走をお手伝いしています。「どれを選べばよいか決めきれない」という段階から、お気軽にご相談ください。詳しくはAI活用支援のページをご覧ください。
参考
- 料金(ChatGPT)
- OpenAI におけるエンタープライズプライバシー(OpenAI)
- ChatGPT のデータ管理(OpenAI)
- Setting up single sign-on (SSO) for ChatGPT Business(OpenAI・英語)
- Admin controls, security, and compliance for plugins and apps(OpenAI・英語)
- Google Workspace の料金プラン(Google)
- Gemini アプリをオンまたはオフにする(Google)
- Google Workspace の生成AIとプライバシー(Google・英語)
- Claude の料金(Anthropic・英語)
- 法人向けのデータは学習に使われるか(Anthropic・英語)
- 個人向け規約の改定のお知らせ(Anthropic・英語)
- Use Google Workspace connectors(Anthropic・英語)
- Microsoft Copilot のライセンス オプション(Microsoft)
- Microsoft Copilot および Microsoft Copilot Chat におけるエンタープライズ データ保護(Microsoft)
- Microsoft Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ(Microsoft)